江頭2:50と学ぶ 北朝鮮 part2「江頭2:50の映画批評で見る、北朝鮮。前編」

一部の人々の中では映画通で知られる江頭2:50だが、彼は北朝鮮が舞台となっている映画や北朝鮮が作った映画などについて語ることもある。

今回は江頭2:50の映画批評を通して北朝鮮という国の実態を見ていこう。

 

『クロッシング』北朝鮮の極貧生活者にはお笑いも無力なのか!?

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北朝鮮の炭鉱で働くヨンス、彼は貧しいながらも家族と幸せに暮らしていたのだが、ある日妻が肺結核に倒れてしまう。

病に倒れた妻を救うべくヨンスが薬を手に入れるため脱北を図る…という内容の映画だ。

本作は本物の脱北者が映画製作に参加しているため、強制収容所の光景や脱北するまでの過程などが非常にリアリティのある映像に仕上がっている作品だ。

とくに江頭は強制収容所にて、狭い部屋に何十人も詰め込まれて金正日に忠誠を誓う歌を歌わされるシーンに息をのんだそうだ。

この映画を通して芸人江頭2:50はこう語っている。

この映画だけは笑いにできねぇ!」「この映画を見たときお笑いは無力だなって思ったよ。」

彼は過去に北朝鮮に出向いた際、学生サッカー部との交流試合中学校での律動体操で北朝鮮人を笑わせたことから「俺の笑いが世界に通じた!」と喜んでいたのだがこの映画を見てお笑いの無力感を痛烈に感じたという。

しかし北朝鮮で貧しい暮らしを強いられている人に対して「でも笑わせたいよね、こいつらを。」とも語っていた。

 

プルガサリ~伝説の大怪獣~』北朝鮮ものは勧善懲悪なんだよ!

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北朝鮮の二代目総書記金正日は映画マニアとしての一面を持っていた。

というのも平壌中心の高台に「国家映画文献庫」という映画の文献庫を持っており、そこにはおおよそ二万本にも及ぶ数のテープを所有していたそうだ。

映画製作のために韓国から有名な監督を拉致したこともあったが、あの有名な日本の怪獣映画である「ゴジラ」のファンでもあり、1985年にゴジラシリーズを制作していた東宝のスタッフを招待し制作された映画がこの「プルガサリ」だ。

怪獣といえば街を破壊して人類と敵対するというイメージが強いが、このプルガサリは貧しい民衆に味方するいわゆる善玉の怪獣である。

シナリオは単刀直入に言うと、貧しい民衆を苦しめる悪い役人を正義の怪獣プルガサリが倒すというストーリーだ。

江頭はこの映画の農民=弱い善玉が、国の役人=悪玉にイジめられてプルガサリ=強い善玉が登場し悪玉を蹴散らすといった感じが昔のプロレスのタッグマッチのようだと言っている。

自分の知る限り北朝鮮の映像作品はベタな勧善懲悪ものだと。

プルガサリ以外にも北朝鮮の高麗ホテルで見たドラマ「力道山物語」もそうだったと言う。

このドラマは「力道山対木村政彦」という実際の試合を元に作られたドラマで、北朝鮮の英雄・力道山=善玉が日本の柔道王である木村政彦=悪玉との試合の最中、力道山が木村政彦の金的攻撃で窮地に立たされてしまう。

※イメージ

すると力道山の頭の上に漫画のような吹き出しが現れ日本人が北朝鮮にいかにひどいことしてきたかのような回想シーンが10分間も続き、「もう許せん!」とばかりに立ち上がった力道山が木村政彦に空手チョップを連打して勝つというもの。

 

「プルガサリ」においては弱い農民=人民で、プルガサリ=将軍様、悪い役人=資本主義、北朝鮮では架空の物語でさえ偉大な将軍様とお国のためのものであることがわかると江頭はこれらの作品について推測していた。

 

余談ではあるが江頭が見たという「力道山物語」の試合内容は「昭和の巌流島」と呼ばれた試合だ。

本来であれば両者引き分けになる台本が用意されていた試合だったのだが、木村の金的攻撃に対し激怒した力道山が、貼り手と執拗な蹴りの連打で戸惑う木村をそのままKOしてしまったという。

通常とは違うプロレスの空気に観客も静まり返り、マットには血だまりができていた。

この試合の舞台裏は現在でも謎な点が多く、鮮明な当時の映像などもないため様々な推測が飛び交っている。